「子どもの権利条約」と
「第31条 子どもの文化権」について
わたしのなまえは、「国連子どもの権利条約」
地球上のすべての子どもたちが、幸せに暮らし、豊かに育っていく「子ども時代」を過ごせるように、世界中の人たちが話し合って、30年前に決めた約束ごとです。
日本も、25年前に国としてその内容に賛成し、実現に向かって努力することを約束しました。でも、残念ながら、苦しんでいる子どもたちが世界にも、日本にもたくさんいます。
あなたは幸せですか? 苦しくないですか?
どうしたらこの約束がまもられて、すべての子どもたちが幸せになれるか、子どもたちもいっしょに、みんなで知恵と力を出し合うために、まずは、みんなでその内容を知り、語り合いたいと考え、このガイドブックをつくりました。
「国連」は戦争をなくすために、生まれた。
今から約80年前、第2次世界大戦という、子どもたちも含めてたくさんの人間が、世界中で命を奪われた戦争がありました。戦争が終わって、世界中の人たちがそのことを悲しみ、反省し、「もし次に大きな戦争が起きれば人類は滅びてしまう」と思いを一つにしました。そして、どうしたら戦争をなくせるか、世界中の国が集まって話し合い、国際連合(国連)をつくりました。
国連は、差別と暴力をなくし、人の尊さはすべて同じで、すべての人は生まれながらにして人間としての権利を平等に持つと認めあうことが、戦争を起こさない土台となると話し合い、人権を守りあう条約をたくさん結んできました。
あなたにも、せかいのひとが みえますか?
「子ども」とは、18歳未満のすべての人間のこと。
この条約では、「子ども」とは、18歳未満のすべての人間のことを言います。
人権はすべての人間が生まれながらにして持つ権利ですが、とくに18歳未満の子どもは、今を幸せに生き、未来に向かって豊かに育っていくことが「子どもの権利」として保障されなければならない、と認めあったのが「子どもの権利条約」です。
あなたは こども? それとも おとな?
「権利」はライト(Right)
「あたりまえ」で「正しい」という意味
この条約の「権利」という言葉は、英語の「Right」です。「Right」は「あたりまえ」で「正当」なことという意味の言葉です。
試験に通ったらもらえたり、年齢によって認められたり、力のある人が他の人を従わせる力ではなく、すべての人が生まれながらにして持つことを「あたりまえ」に認められている「正当」な「正しい」ことという意味です。
あなたのRightは げんきですか?
「条約」は、世界の人たちとむすんだ約束。
条約とは国と国とが結ぶ「約束」のこと。「子どもの権利条約」は、世界中のすべての国が国連の総会で賛成して、それぞれの国に持ち帰り、そのほとんどの国が約束としてみとめました。
日本でも、国民の代表があつまる国会で話し合って、その実現を世界の人に約束しました。日本という国が世界中の人たちとむすんだ約束なので、守らなければいけません。
そのためには、日本の法律やいろんな規則も条約の内容にそって、改善していかなければなりません。
さて、なにから かえて いきましょうか?
子どもは休まないと壊れる。子どもはしっかり寝ないと育たない。
「休息」の権利は、子どもたちの最大限の健康と幸福を保障するために、子どもたちが、仕事、勉強、家事などのあらゆる種類の活動からの十分な休息を与えられることを求めています。当然、十分な睡眠の保障を含みます。
十分な睡眠と必要な休息が与えられなければ、健康に有害であることはもちろんですが、睡眠と休息が不足すれば、子どもたちの精神的、肉体的活動も十分に広がりません。その結果、成長にも大きな支障をきたすことになります。
ねるこはそだつ! いそがばまわれ!
余暇は、子どもが好きに使える自由な時間、「何もしない時間」も認められる。
「余暇」とは、自由で束縛のない時間として定義され、勉強、仕事、家事などから解放され、誰からも指図されず、干渉されたり、世話をやかれたりしない、子どもたち自身が自由に選び使える時間のことです。時には何もしない時間を持つことも必要です。
この自由な時間が確保されることにより、子どもたちは自らのなかに、生まれながらにして持っている、遊んだり学んだりする欲求を目覚めさせ、好奇心を広げ、想像力を羽ばたかせ、生きていく意欲と楽しみを育てます。
ボーっと いきてる じかんも だいじ なんだよ!
遊びは子どもの主食。成長発達のためのエネルギー源です。
十分な休息により健康が確保され、余暇という自由な時間の中で生まれてくる、主体的・能動的な「遊び」は、子ども時代の生活の中心に置かれる、欠くことのできない大切な喜びの時間です。
そして、遊びは子どもの心と体を楽しさと満ち足りた気持ちの中で育み、主体的な学びや体づくりの基礎となります。
また、自然や仲間と触れ合う遊びを通じて、生き物である自分、社会の一員である自分を発見し、社会や自然環境に主体的にかかわろうとする意識を育てます。
遊びは、子ども時代の主食となる、最も大事な活動です。
あそびは じゆうな じかんから うまれるよ!
レクリエーションは子どもを生きかえらせる
そもそも「レクリエーション」とは、「再生、修復、再創造」という意味です。
一般には、仕事の合間の息抜きの活動や、軽いスポーツ、コーラス、ハイキングやキャンプなどのことを言うことが多く、特別に作られたプログラムや場所を必要とするとりくみが多くなり、大人によって組織され、管理されることも見られます。
自発的でない活動は、時として子どもを傷つけてしまい、自主性・主体性を損なうことにもなるため、レクリエーションとは呼べません。
レクリエーションが子どもの心と体の「修復、再生」になるためには、自らの選択と主体的なとりくみが大切にされなければなりません。
あそびごころ、おとなにも だいじだね!!
子どもは文化的生活をとおして、自分を知り、他人を知り、人として育ちゆく
「文化的生活」の「文化」は、芸術文化だけでなく、生活文化も含めて子どもたちの日々の生活に深くかかわっているものです。
子どもたちは、日々の家族との生活や地域の行事や祭礼などの中で、家族や地域の文化と触れ合い、人間関係や伝統を知ることができ、自分が何者であるかを学びます。
また、子どもたちが自分たち自身の文化だけでなく、他の文化と出会うことによって、理解の幅を広げ、自分とは違う家族や地域や社会の文化や伝統に触れて、「違い」を学び、相互理解を深めます。
「ぶんか」は にんげんをつくる。
子どもは芸術活動に参加し、人間を知り、社会を知り、社会と語り合い、社会を変えていく
子どもたちは、芸術活動を通して、自分や自分の地域や民族がもつ固有の人間の在り方や感じ方、考え方を知り、表現しながら、自分と自分が生きている世界の在り方についての理解を積み上げていきます。
また、他者の表現を受け取ることによって共感し、あるいは違いを知り、人間の価値観の多様性を喜びとして実感していきます。そして、そのことによって、自分たちが所属する社会の発展と変革に参加します。
「げいじゅつ」は にんげんのたましいを ゆさぶる。
これらの内容は「ワニブタ絵本ガイドブック」の一部を抜粋したものです。
「国連子どもの権利条約と子どもの文化権(第31条) ワニブタ絵本ガイドブック」
発行:2020年
監修:増山均、作画・レイアウト:前田達彦
著作:増山均/大屋寿朗、 編集:大屋寿朗
(A4厚口32㌻フルカラー、税込500円)
冊子版の購入をご希望の方は、下記Art.31までお問合せください。
お問合せ:Art.31 ⇒https://art31project.jimdofree.com/
(FAX:03-6740-1915 / e-mail:[email protected] )
●子どもの権利条約 第31条 条文 について
(国際教育法研究会 訳)
~日本語版~
子どもの権利条約 第31条
(休息・余暇、遊び、文化的・芸術的生活への参加)
(1) 締約国は、子どもが、休息しかつ余暇をもつ権利、その年齢にふさわしい遊びおよびレクリエーション的活動を行う
(2) 締約国は、子どもが文化的および芸術的生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進し、ならびに、文化的、芸術的、レクリエーション的および余暇的活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。
(英語版)
原本
Article 31 of The Convention on the Rights of the Child
(1) States Parties recognize the right of the child to rest and leisure, to engage in play and recreational activities appropriate to the age of the child and to participate freely in cultural life and the arts.
(2) States Parties shall respect and promote the right of the child to participate fully in cultural and artistic life and shall encourage the provision of appropriate and equal opportunities for cultural, artistic, recreational and leisure activity.